さすが北欧!? スウェーデンの授業

今回は、スウェーデンの大学での、授業の進み方をご紹介します。一つの学期に15個も授業を入れるような、日本の大学とは全く違うスタイルを取っています。初めて聞くと戸惑いますが、このシステムがなかなか良いんです。


1. 単位とシステム

日本でいう“単位”は、ECTS(European Credit Transfer System)と呼ばれます。一学期の履修上限は30ECTSですが、スウェーデンの滞在許可に必要な単位数も30ECTSです。なので、ほとんどの学生が、30ECTSを取得することになります。ただし、留学生向けのスウェーデン語の授業は、例外として、30ECTSに上乗せすることができます。

そして、授業の性質を決定する重要な要素が、「どれくらいの頻度で授業があるか」です。これは、100%、50%、25%と3種類あります。100%は、「その授業の期間中、これ以外の授業は履修できない」ことを意味します。つまり、この授業に100%集中してください、ということです。50%の授業なら、同時に2つ履修することが想定されています。

他の授業も、制度上は履修することができます。しかし、授業日が重複してしまったり、課題量が非常に多くなってしまうため、結局は履修を取り消すこともあります。そのため、その時履修している授業の合計が、100%になることを目安にするとよいでしょう。

私が留学したウメオ大学では、1つの学期を、4つのモジュールに分けて考えます。学期一つ分は、だいたい25週あるので、1モジュールは5週という計算になります。100%の授業は、たいてい1モジュールで授業が終わります。50%の授業は2モジュール分かかる、ということです。

話が複雑になってきたので、まとめます。大抵の授業は、

  • 100% × 1モジュール = 7.5ECTS
  • 50% × 2モジュール = 7.5ECTS
  • 25% × 4モジュール = 7.5ECTS

になります。例外として、スウェーデン語の授業は、

  • 50% × 4モジュール = 15ECTS

です。


履修スケジュールの例

実際に組むスケジュールとしては、以下のようなものが考えられます。秋学期に、30ECTSを取得することを、想定してみました。

実際に履修できる授業は、こちらを参考にしてください。


2. 授業のスタイルと課題

日本では、授業によって、講義、演習、実習などの区別がありますが、スウェーデンの授業では、表立った区別は見られません。その代わり、一つの授業に、色々なスタイルの授業が組み込まれている場合が多いです。時間割には、以下のような表記があります。


Lecture

  • 通常の講義
  • 教科書や論文のリーディングが必要

Seminar / Workshop

  • ディスカッション、ロールプレイングゲーム、プレゼンテーションなど
  • 教科書や論文のリーディング、ディスカッションのために意見をまとめることが必要
  • ディスカッションでの発言内容や、積極性が評価される

Group Work

  • 授業時間外に、小グループ(2〜5人)で集まり、課題に取り組む
  • プレゼンテーションの準備をしたり、レポートを共同で提出する
  • ここで準備したプレゼンテーションを、Seminarで発表する


3. このシステムの良い点

日本で行われる授業スタイルに比べ、一つの授業に集中できるため、色々なメリットがあります。まず、様々な方法で時間をかけて内容を学ぶため、知識が定着しやすく感じます。期末試験の時期にしか勉強しない、ということが不可能だからでしょう。

そして、期末試験やレポートの提出期限が、いくつも重なることはありません。そのため、他の科目の心配をせずに、テスト勉強に打ち込むことができます。スウェーデンの授業を知ってしまうと、授業の理解度とともに、要領の良さが問われる日本の大学の試験は、どうも本質的でない気がしてしまいます…。


4.授業スケジュール

授業によって、Seminarが多い、Lectureが多いなどといった違いが、頻繁にみられます。それに伴い、授業時間数や、授業時間外に割かなければいけない時間、そして課題量は、大きく異なります。


例1:文系科目(スウェーデンにおけるソーシャルワーク)

この授業は、週に2回しか授業がありません。しかし、Seminarで、グループ毎にプレゼンテーションを要求されます。そのため、授業以外の日も、グループで集まったり、プレゼンテーションの準備をする必要があります。

例2:理系科目(健康心理学)

この授業は、ほぼ毎日授業があり、毎週のようにWorkshopもあります。また、50%の授業なので、授業は偶数週のみに行われています(一番左の、Wという欄が、週番号を表します)。奇数週には、別の50%の授業が行われていました。

公開されているシラバスから、こういった授業の大変さを読み取ることは、ほとんど不可能です。なぜなら、履修したい授業を申請する時点では、正確な時間割が公表されていないことが多いからです。

また、留学生が履修できる授業には、多少の傾向がみられます。理系は、正規学生向けの授業を、留学生向けにも開講していることが多いです。そのため、授業時間数が多く、課題も多い傾向にあります。また、既に仲の良い、スウェーデン人学生グループがあるため、留学生が溶け込みにくいこともあります。

逆に、文系の授業で、特に「スウェーデンの何かについて取り上げている授業」は、留学生のみが履修します(スウェーデンの文化、スウェーデンの福祉政策など)。授業の負担は比較的軽く、様々な国から来た留学生と触れる機会が多いことが、特徴です。


5.おわりに

私は、8つの授業を履修しましたが、どの授業もスタイルが異なり、非常に面白かったです。北欧の教育は高水準と言われる所以が、垣間見られたような気もしました。

海外の大学で、専門科目の授業を受けられることこそ、交換留学の大きなメリットです。本サイトには、他にも授業についての記事があるので、ぜひ比較してみてください。

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