パリという空間に住む

藤井 信充

北海道大学文学部西洋史学講座4年
2018年9月~12月までイギリス・エジンバラ大学に交換留学
イギリス・スコットランドの土地所有制度や労働形態を研究


氏名:田中秀樹

所属:北海道大学文学研究科西洋史学講座修士課程2年

留学歴:2015年2月~3月 語学研修(フランス、トゥール、トゥーレーヌ学院)

2017年8月~2018年7月 交換留学(フランス、パリ第七大学)


 こんにちは。北海道大学文学研究科所属修士2年の田中秀樹です。私は修士1年次の2017年8月より1年間交換留学生としてフランスの首都パリに住んでいました。パリと聞くと多くの人が思い浮かべるのが、ルーヴル美術館や凱旋門、エッフェル塔、オペラ座のような華やかな歴史的建築物だと思います。また同時にテロリズムやデモ、スリなど悪い面を印象として持たれる方もたくさんいらっしゃることでしょう。そこで今回はパリの特徴や留学における住環境に焦点を合わせ私の経験とともに情報をお伝えしたいと思います


1. パリという空間

(オペラ・ガルニエ)


 フランスと聞いて多くの人がまず思い浮かべるイメージというのは首都パリの風景でしょう。それほどにパリという都市は政治・経済・文化に対し大きな影響力を持っておりフランス国家の中で非常に重要な位置を占めています。しかし、同時に認識していただきたいことは、「パリはフランスの中で最も特異な街である」ということです。もちろんパリは多くの人のイメージ通り歴史と芸術の街ですが、同時に「これぞパリ」という特徴を述べるなら、それは「コスモポリタン」という一言に尽きるでしょう。パリの地下鉄には日々多くの人が乗りますが、個人的な感覚でその肌の色の割合を言うと、白が5割、黒が4割、黄色が1割です。パリは文化的多様性の権化のような街で、種々の移民がもたらした食文化や言語などが1つのパリ文化を構成しています。バゲットもケバブもファラフェルもすべて同様にパリ文化を代表するものです。日系はパリの「外国人」層の中ではマイノリティですが、「外国人」というマジョリティでもありフランス語さえ話せればすぐパリ人になることができます。この敷居の低さがパリの特徴であり最大の魅力であると言えます。

(上:大学の中庭 下:大学図書館)


2. 大学と住居

 私は留学先であるパリ第七大学(13区)から徒歩約10分、最寄り駅のBibliothèque François Mitterrand駅から徒歩約1分の場所に住んでいました。ここはRERのC線と地下鉄の14番線が乗り入れる駅で非常にアクセスの良い立地でした。

(パリ路線図)


 住居形態に関して言うと、私は大学寮に住んでいました。共同の洗濯機を除き、キッチンやシャワー、ネット環境など大半のものが部屋の中にあります。交換留学における住居の選択肢としては大学寮と一般のアパートの2つがあると思いますが、比較すると以下の特徴が挙げられます。


大学寮…家賃が安い。大学に近い。選択肢は限られる。手続きが簡単。抽選の可能性あり。

一般のアパート…家賃が高い。場所は様々。選択肢が多い。手続きは住居による。


 私は家賃の安さと大学に近い要素を重視して大学寮を選択しました。個人的には家賃が破格であるという点が最も大きなメリットであると感じました。また困った点は、最初ベッドにはマットレスしかなくシーツや枕、布団を急いで買う必要があったことくらいです。

(留学中に実際に住んでいた部屋)


 大学寮の申請は入学許可書受け取り前の留学先大学への手続きの段階(多くの場合締め切りは4月末)に同時に行います。申し込みフォームは留学先大学のホームページにあることがほとんどで、留学先大学付近の大学寮を希望順位を付けて数個提示するという形になります。抽選の結果如何に関わらず6月~7月に住居に関しメールで連絡が来るので、それを待ちながらVisa取得の手続きを進めれば問題ありません。フランスではCROUSという国の学生支援機構が学食や住居関連の業務を担当しています。入国前は大学経由で住居申請をしますが入国後問題が生じればCROUSの窓口に行くことになります。より詳細に知りたい方はCROUSのホームページから寮のリストを見てみると良いでしょう。

 パリでは多くの場合、大学寮を希望者全員に割り当てることは不可能のため抽選になります。その際大学院生がおそらく優先的に割り当てられます。学部生は抽選に外れ一般のアパートに住む例も少なくありません(私の友人の大学院生で抽選外れは皆無。学部生は比較的多かった)。私が住んでいた寮は家賃が350ユーロ/月(光熱費・ネット込)で一般のアパートは最低でも6~700ユーロ/月ほどはするので、この点は院生留学のメリットかもしれません。学部生でパリへ留学を考えている方は、大学寮を申し込む傍らで一般のアパートを事前に探しておくことをお勧めします。

 大学寮の抽選に外れた場合は一般のアパートを借りて生活することになりますが、インターネットでパリの住居を検索し大家さんにメールなどで連絡をとれば日本からでも手続きが可能です。

 大学寮の抽選に当たった場合、手続きは入寮日に寮へ直接出向き初月の家賃を払うだけです。また、月々の家賃は大家さんの事務所で毎月決められた日までに払います。何か問題が生じた場合は大家さんに相談し解決のアドバイスをいただくと良いでしょう。


3. パリでの移動や買い物

パリの街並み(シャトレ広場横)


 住居を決める際、大学からの距離はもちろんのこと最寄り駅の利便性や周囲の店舗なども大きな要素です。パリにはフランス国鉄(SNCF)が運営する鉄道RERとパリ市が運営するメトロやトラム、バスなどの交通手段がありますが、その路線の中でも治安の良い/悪い、綺麗/汚い、便利/不便の差が存在します。例えば、RERのB線は空港直通ですし、C線は国立図書館やオルセー美術館、エッフェル塔に行きやすいです。地下鉄の1, 2, 5, 14番線はパリの主要駅や観光地を多く通ります。

 周囲の店舗について言えば、MonoprixやCarrefourなどの大手スーパーが近くにある場所が良いと思います。


4. 住宅補助について

 フランスでは留学生でも公的な住宅補助(フランス語での制度名=Caisse d'Allocations Familiales/略称CAF)がもらえます。その為実際にかかる住宅費は家賃より少ない額になります。(支給額は住宅形態や家賃による。家賃の1割~2割ほど)詳しい手続きに関しては紙幅の関係上、次の機会があれば述べたいと思います。


5. まとめ

 いかがだったでしょうか。住居申請の方法や住居の種類と特徴、決定要因、住宅補助の存在などを紹介しました。実際の住居申請は留学先大学のサイトでの留学手続きと同時に行うため、その際にしっかりWeb上で確認することをお勧めします(大学ごとに手続きが異なることも考えられるため)。留学前は住宅含め煩雑な手続きが非常に多いですが、これから留学を考えていらっしゃる方は根気よく頑張ってください。

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